世界で1着の服
久々に読書。
8月ももうすぐ終わりだし、夏休みの宿題よろしく、大人の読書感想文。
「おうちのふくー世界で1着の服ー」
2015年 有限会社フォイル
著者:行司千絵
新聞記者のお仕事の傍ら、休日に独学で服を作られている行司千絵さん。
好きな布で気の向くままに作る服は、最初自分と自分の母親のものだけだったのが、「ステキ」「作って欲しい」と周りの方のリクエストが入るように。
最初は断っていたものの、徐々に依頼に応えて作るようになります。但し条件付きで。
リクエストで服を作る時の条件は5つ。
(本から抜粋させていただきました)
1.事前のリクエストは「コート」「ワンピース」など大まかな形と、好きな色や好みの着丈のみ。
2.布選びやデザインなどは任せてもらい、私が「これが似合う」と思う服を勝手気ままに作る。
3.他の人に作った服と全く同じもの(おそろい)は基本、作らない。
4.途中経過は見せず、完成した時に初めてお披露目する。
5.完成品がお気に召さない場合は、私が引き取る。
あくまでも楽しんで作るため、そして着る人をしっかりイメージして、似合うであろう着丈や普段着を想像しながら作られる服。
そして自分にも条件として相手の方が気に入らない場合はそれを引き取ることを課す。
本には23人の方が作られた服を着た写真、
そしてその方達に行司さんがどんな印象を持って、それを元にどうやって服を作ったかが綴られているのですが、
これまた登場する方には本が出来上がるまで完全ナイショで見せないという!
まるで鶴の機織りのような。
でも作っていただいた方にしたら、服を作って袖を通した時の感激と併せて、こんな思いで作ってくれたんだと本を開いて嬉しくなるはず。
どの服も素敵でしたが、やっぱり同居されているお母さんへの服がとてもよかった。
他人のリクエストに応える前から、小柄で既製服ではサイズが合わないお母さんに服を作られていたそうですが、
70代のお母さんが手作り服を着られるようになってから、髪型が変わり、ファッションが変わり、街を歩いているとその服ステキと声をかけられるようになったそう。
表紙の写真がそのお母さんなのですが、生活スタイルから全てを熟知して毎日一緒にいるからこそ、こうすればよりいいというものがわかっているんだろうなぁ。
自分に似合う服や着丈とか、流行を含めてどうすればよいのか、年を経る毎にだんだん自分ではわからなくなってくる。
去年まですんなりと着ることができた服が、なんかこれはもう自分には違うな、と思うこともよくあったり。
私もできることなら自分で自分の服が作りたいなぁ。
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